3軸加速度センサ
H48C の温度センサ
日立金属の加速度センサは,その測定原理から,温度センサを内蔵していて,加速度センサの温度補償を実現するために使用される。
ラグビーセンサは、ラガーマンのおへその下辺りに取り付けらるので,計測中は体温にほぼ近く,恒温槽の環境であると想定したが,冬季(日本)での試合中の温度変化を測定してみると,最高温度33℃,最低温度14℃であった。 環境温度:6℃~8℃:10時16分04秒→12時05分17秒:測定時間109分13秒
冬季では,体温に満たない温度であり,測定時間内での温度変化は,少なくとも20℃の変化は想定しなければならない。
従って、ゼロ点温度特性から,±27mgの変化が発生するので,補正は必要となる。
因みに,H48Cは現在は,入手は難しいかもしれません。H34Cの温度特性でも同様ですので,同じ議論ができるでしょう。 1gでの感度が3V駆動で,333mVで,温度変化による変化量は20℃変化では,最大10mVの変化量を想定する。 これも30mgに相当する。 この大きさは,10秒間続くと、速度3m/s,距離に換算すると,15mに達する。
特に、ゼロ点の補償は重要で,静止しているのに速度、距離に換算されてしまうため,補正式を求める必要があるが,日立金属のH48Cの資料によると,ほぼ、温度1次関数式になっているので,10℃と25℃,35℃の3点で測定した値か,10℃,35℃の2点での温度測定でも良いであろう。
ゼロg電圧の温度ドリフト例 Hitachi Metal,Ltdの技術資料k_tech_1.pdfの図7より
感度の温度ドリフト例 Hitachi Metal.Ltdの技術資料k_tech_1.pdfの図6図より
3軸-±2g/6g 超小型リニア加速度センサ
温度特性:ゼロ点とスパンの温度特性の仕様は,保証された値ではない典型値として示されている。
先ず,ゼロ点の温度特性は,3軸とも±0.5mg/℃としているので,20℃の変化が発生すると,±10mgの変化量が見込まれる。 日立金属のH34Cに比べ約1/3に低減しているが,温度補償は必要な量だ。
X軸のゼロ点温度変化(mg/℃) X軸の感度温度変化(%/℃)
Y軸のゼロ点温度変化(mg/℃) Y軸の感度温度変化(%/℃)
Z軸のゼロ点温度変化(mg/℃) Z軸のスパン温度変化(%/℃)
スパンの温度特性は,±0.01%/℃であるから,20℃の変化があっても,±0.2%であり,フルスケール2gの時の変化は,±4mgではあるが,6gのときは,12mgとなり,これも日立金属のH34Cに比べ約1/3という値と見積もれる。
計測原理からすると,もっと差があってしかるべきだが,日立金属のピエゾ型の不利なこの温度特性の改善に努力している(技術成果が高い)というのが適切であろう。
ゼロ点の温度変化分布やスパン温度変化分布図から,入手するセンサ全体からは,日立金属とSTマイクロエレクトロニクスのどちらのセンサも,20℃も変化するアプリケーションでは,温度補正式が必要であろうことは,明白だろう。