
アナログ信号として、運動を検出するデバイスとしてジャイロセンサがある。
1秒間あたりの角度の変化量を角速度といい、ジャイロセンサは角速度を検出するデバイスである。 ジャイロセンサの出力は,DC成分の安定がそのセンサの性能を左右する。 DC成分の変化は,時間積分を実施した結果が必要となるセンサでは共通した悩みだ。 これは,ジャイロセンサだけ無く,加速度を時間積分して速度,そして距離を算出する。加速度センサでも同様だ。
センサの出力の安定性が期待できないとき,信号の前処理手段として,バンドパスフィルターを利用することが提案されているが,このフィルタを通した信号では,DC成分に近い信号の応答性が歪むなど,理想的なバンドパスフィルターでない,現実の技術では,この手段を利用した場合,注意が必要だ。
一般に,高い周波数成分は,対象物の性格から,単なるノイズとして扱ってよい場合,カット周波数以上の周波数は,無視できることから,サンプリング後,信号補正を実施するほうが良い。
ラグビーセンサは,小型のジャイロセンサを搭載する。このジャイロは,エプソントヨコム社製のXV-3500BCAで,検出範囲が±300°のものである。利点は,非常に小型かつ軽量で,ゼロ点が安定していることである。
項目 |
記号 |
仕様 |
条件 |
電源電圧 |
動作電圧 |
VDD |
3.0V±0.3V |
VSS=0V |
温度範囲 |
保存温度 |
TSTG |
-40℃~+85℃ |
|
動作温度 |
TOPR |
-20℃~+80℃ |
|
入力電圧 |
Vin |
-0.3V~VDD+0.3V |
VSS=0V |
公称感度 |
SO |
0.67mV /deg/s Typ |
|
静止時出力 |
V0 |
1,350mV Typ |
Ta=+25℃ |
基準出力 |
Vr |
1,350mV Typ |
Ta=+25℃ |
検出範囲 |
I |
±300deg/s |
|
応答性 |
Φ20 |
4(Degree) |
20Hzの位相の遅れ角 |
消費電流 |
使用時 |
IOP |
1.7mA Typ |
~uAになること期待 |
スリープモード時 |
Isleep |
1.0mA Typ |
| ジャイロには,検出範囲を上回る,±360°/secの入力も測定範囲とすることから,センサの出力は,
1,350±0.67*360=1,350±241.2[mV]である。
そこで,オペアンプの増幅率を4.3(1+R4/R3)倍して,0.67[mV/dec/s]×4.3=2.881[mV/dec/s]とすれば,回路を通した出力は,1.35±1.03716[V]となり印加可能電圧0~3[V]に収まる。

図1.ジャイロセンサ 回路図
実際には,ジャイロセンサの出力が,0~2.7V出力で,10ビットADCの変換が,0.00<->3.00Vを0<->1024に変換しているので,上限は,1024×2.7/3.0=921
付近となる。 そこで,ジャイロセンサの静止状態の出力値(1.35V)から,ADCの入力電圧範囲の中点電圧にシフトして,出力変化量を,ADCの入力範囲の半分になるようにゲインを設定することで,調整できる。
今回使用したセンサの測定範囲を仕様の±1.2倍の可能性を期待してのものであることを了承して欲しい。
gyro2.htmlへのリンク |