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10bit ADC変換

H8/38076 86の逐次変換ADCを使用するにあたり,ぜひ注意して欲しい点をお教えしよう。

ルネサス、すなわち,H8 が日立グループで,ADCの入力信号を同じく日立グループが作って

いるセンサであってもそのインターフェースは最適化されていないのである(注意書きはあり

ます)。

 なぜだろうか? それは,センサが業界のデファクトスタンダードとなっている。

という宿命にあるのだ。 この意味を理解できない人は,各デバイスの仕様書をじっくり

読んで,その意味を見つけ出して欲しい。 

これは,作り手側の都合が,見えてくるかも。

ここでは,マイコンの仕様書を解説して,どこを読み取るかのポイントを理解して欲しい。

まず,使用上の注意事項をさがしてみると,

許容信号源インピーダンスについて」という記載が見つかるはずだ。

その記載事項は、

 「本LSIのアナログ入力は,信号源インピーダンスが10kΩ以下の入力信号に対し,

変換精度が保証される設計となっています。 これはA/D変換器のサンプル&ホール

ド回路の入力容量をサンプリング時間内に充電するために設けている規格で,センサ

の出力インピーダンスが10KΩを超える場合充電不足が生じ,A/D変換精度が保証

できなくなる場合があります。

 対策として,外部に大容量を設けている場合,入力の負荷は実質的に内部入力抵抗

の10kΩだけになりますので信号源インピーダンスは不問になります。 

ただし,この場合ローパスフィルターとなりますので,微分係数の大きなアナログ信号

(例えば電圧の変動率が
5mV/μs以上には追従できない場合があります。

 高速のアナログ信号を変換する場合には,低インピーダンスのバッファを入れてください。」

である。 アナログ回路の例として,下図が記載されている。


A/D変換器の等価回路

この意味するところを理解できる人は,以下の内容は言うまでも無いので,読み飛ばして

(^^);

では,今回使用した加速度センサH34C(日立金属製)の機能ブロック図を見てみよう。


センサの出力インピーダンスは32kΩと書いてありますね。 なぜ出力インピーダンスが

32KΩなのかはセンサのところで説明する。 従って,センサとマイコンのAD変換器の

間にインピーダンスの仕様を満足させる処置が必要である。


そこで,センサのH34CとマイコンのH8のADC入力ピンとの接続図に示すと,


である。
 この設計を省略できるデバイス(H34CD)が販売されている。

使用上の注意事項で言われている急激な信号は,1チャンネルに限定すれば, 

100Hzでのローパスフィルターとなるコンデンサー(0.047uF)を用いて,Vref と

Toutにはメーカが推奨する値 0.01uFの10倍の0.1uFを用いたことで、回避。

 ADCのチャンネルは,8チャンネル,そのうち,加速度3軸とジャイロ3軸の6

チャンネルの信号を,200Hz(5msec)の周期でサンプリングする。

1チャンネル側から見ると,833.3μsecの間隔でデータが読み込まれることになる。 

しかしながら,ADC側から見ると,チャンネルの切り替えは,長くて,約800μsec毎

に切り替わっていることを期待したいが、実際にはどうだろうか? 

(6.2〜124μsecだ)

ADC変換を実施する側(プログラミングする側)としては,できるだけ早く,6つから8つ

のチャンネルのADCの変換を実施して,データを集まったところでのメモリー保存の

処理をしたい。 すなわち,センサメーカは,センサの出力インピーダンスを小さくする

処理、または、ADCの入力インピーダンスが、充分大きいことを期待している(プログラマーも)。

このインピーダンスを無視できる信号の変化は,5mV/μsecという注意事項が影響してくる。 

この値は,入力電圧が最大3000mV 変化する時間として、見積もると600μsecに相当する。

 (サンプリングホールドでのアクイジションタイムが、600μsecを要求する。 これは、不可能だ。

 精々6μsecでしょう。)

従って,センサの出力インピーダンスが高く,サンプリングレートを高速化した場合,センサの信号

を正しく、取り込むことが出来ない。 従って、

バッファアンプを挿入し、センサの信号インピーダンスをほぼ、ゼロにするほうが,安心かつ,

信頼性のある計測ができるのだ。

   ロボットの製作や,電子回路に興味を持つ人たちに,センサ信号をマイコン内臓ADCに入れて、計測した値で,ロボットを動

動かすのに使用しているのを出くわすことが多い。 最近のマイコンは,10ビット逐次変換ADCや、12ビットADCが,標準で

備わっているものが、簡単に手に入る。 接続して、プログラムを書き、動かして、すぐに活用できる時代だ。

不幸な時代でもある。 20年前には,常識だった,アナログ信号処理の経験を体験、知識すら無いのだから(教科書で

読んだ,電気工学,計測工学の人すら) 惨めなものだ。 アナログ信号をロジック素子に入力して,検出してしまう回路を

設計・製作してしまう電気工学出身の人にも。。。。。

彼はは,「最近のCMOSでは、大丈夫でしょう!? 」と 言いのだから。 驚きだ。